2011年2月2日水曜日

CapybaraH.T.

 ようやく卒論に一段落ついたので、つくばチャレンジ2010に参加した機体の紹介を。機体名は"CapybaraH.T."で、先代の"CapybaraG.S."のGとSがアルファベット順に一文字ずつずれてこの名称に。今回の開発は前年度の4人に2人加わり、WMMCの有志6人のメンバで行われました。




 とりあえずはスペックを。
  • Machine
    • Length: 95cm
    • Width: 70cm
    • Heigh: 110cm
    • Weight: 70kg
    • Battery: Pb 24V 30Ah
  • Computer
    • CPU: Core2 Quad Q8400S
    • RAM: 4GB
    • Storage: SSD32GB
    • PSU: M3-ATX
    • OS: Windows Server 2008 R2
  • Sensors
    • LIDAR: UTM-30LX(Top-URG)
    • LIDAR: TRG-04LX-UG01(Simple-URG)
    • Camera: Playstation Eye
    • IMU: 9DOF Razor
    • GPS: GT-730F/L
 前年度まで使用していたラジコンベースの台車を一新し、今年は電動車いすをベースにして開発を行いました。結果として安定度は格段に上がり、外装もしっかりと覆ったおかげで雨天でも走行が可能となっています。

 電動車いすの制御は備え付けのスティックコントローラのポテンショメータ部をバイパスし、自作の制御用マイコンからDA変換した電圧を印加することで従来の機能を損なうことなくPCからの制御を可能にしています。また、車いす内蔵のエンコーダからの出力も同マイコンで取得し利用が出来るようになっています。

 PCは前年度のものをほぼ流用し、システムはアーキテクチャ設計段階でコンポーネント分割を行い、コンポーネント間はインタフェースを用いて通信することで、依存度を抑えて後々のコンポーネントの変更や移動、調整を行いやすくしています。また、.NET framework4.0をプラットフォームに開発を行いました。

 データ処理の流れは、エンコーダオドメトリとIMUの3軸ジャイロと3軸地磁気データをカルマンフィルタで処理したものを位置推定結果の最終段とし、Simple-URGから得られる近傍の障害物情報と位置推定結果を利用して経路計画を行っています。

 最後に、実用レベルではなかった或いは実装が間に合わなかったことにより最終的には利用されなかったモジュールの紹介を。
 まずはカメラについて。今回うちのチームで比較的ユニークだったと思われるのが、カメラを下向きに設置し、路面の特徴点変化(オプティカルフロー)を見ることで光学式マウス的に移動計測を行おうというもの。これは結局、路面の特徴点が少ない場合など頻繁に誘拐問題が発生し、カルマンフィルタに入力しないほうがマシな状況だったため搭載を断念。今後の進歩に期待。
 次にGPSについて。今回利用したGT-730は車での移動等を記録するためのGPSロガー製品で、出力されるデータがすでにGPSモジュール内部のフィルタにより処理されたものであったため、データの正当性などの観点から不向きと判断して断念。そもそも誤差大きすぎ。
 最後にTop-URG。3次元マッピングを行うところまでは完成していたのですが、ICPスキャンマッチングによるリアルタイムな位置補正まで手が回らず時間切れで断念。トライアル程度なら絶対位置補正がなくとも完走は可能ですが、1km走るとなると絶対に必要であり、位置補正手段として現実的な方法であるため今後は必ず必要になるモジュールです。

 今大会でハード的にもソフト的にも大分蓄積ができてきたので、今後はこの機体・システムをベースに新しい要素を取り入れ、新しい技術にチャレンジしつつ完成度を高めていきたいと思います。

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