2010年7月28日水曜日

パターンマッチの活用

 つくばチャレンジシンポジウム2009の項目でも書いたように、環境情報とのパターンマッチによる位置情報の補正が走行の鍵となっています。レーザ測域センサ(LIDAR)から得られるポイントデータと事前環境情報とのパターンマッチによる補正が一般的な模様。例にもれず、WMMCチームも去年から考えてはいたのですが、まず去年は出来なかったので、今年こそは行いたいと考えています。


 環境地図のパターンマッチの使用法はおそらく大きく分けて2種類あります。ひとつは、パターンマッチをデッドレコニング的に使用する方法で、リアルタイムに前状態で取得した環境地図と今状態で取得した環境地図を比較して、回転と並進を調べるもの。もうひとつは、事前(走行する以前)に取得しておいた環境地図と走行時に取得した環境地図を比較することにより、事前環境地図上のどこにいるかを割り出すというものです。
 前者は未知環境でも使えるのですが、センサ値と実環境上の距離情報などとのすり合わせが正確でないと、システム内の座標と実環境の位置とに差が出てしまうであろうという問題があります。車輪につけられたエンコーダによるオドメトリよりは精度が出るでしょうが、やはり実際とのずれが問題になりそうです。
 一方で、後者はそういった事前環境地図の場所にマッピングされるので、たとえ事前環境地図と実環境が違ったとしても、実環境の目的地に対応する事前環境地図上の目的地を置けば、パターンマッチによる補正でその目的地に到達してくれることが期待できます。ただ、現実の地図情報やGPSとあわせて使うことを考慮した場合は、事前環境地図を正確に取得する必要があるため、それなりの設備が必要になると思います。なお、事前に取得した広域な環境地図とのパターンマッチを何も考えずに行うと多大なコストがかかるので、オドメトリやGPSから得られた位置情報を初期値として、その近傍エリアの地図とのパターンマッチをかけるのがおそらく一般的な利用法です。

 さて、最初にも書いたように、つくばチャレンジで主流なのは”事前”環境地図とのパターンマッチです(たぶん)。WMMCでも、なるべく正確な事前地図を作りたいと思うのですが、たいした設備もない中でどうやるのか、そこが問題となっています。案自体は若干出てはいるのですが、上手くいくかは微妙。とはいえ、GPSを用いず、実環境とはずれのある事前走行のみで取得した地図とのパターンマッチでも走破できるという前例もあるので、GPSを用いない方針もありかなと個人的には思っています。うちのチームの安価なGPSは、去年に本当に役に立たないということが分かってますし……。
 本当の未知環境をコース指定のみで走れるようなシステムが作れるのが理想なんですけどね。

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